ChatGPT、Perplexity、Microsoft Copilotなどからの流入をGA4で横断して確認するには、確認済みの参照元を条件にしたカスタムチャネルグループを作成する方法が実務的です。たとえば「AI Referrals」というチャネルを作れば、識別できた複数のAIサービス経由の訪問を一つの軸で比較できます。
ただし、生成AIからの訪問であっても、常に参照元情報(リファラー)がGA4へ渡るわけではありません。この記事で扱うのは、あくまでGA4上で参照元として識別できたAI経由の流入です。Directに分類された訪問を、後から正確にAI流入へ戻すことはできません。
まず探索レポートで自サイトに記録されている参照元を確かめ、必要に応じて一時分析を行ってから、カスタムチャネルグループへ反映します。設定後はセッション数だけでなく、エンゲージメント、キーイベント、ランディングページも確認します。
GA4でAI流入をまとめて計測する結論と手順
ChatGPT・Perplexity・Copilotなどをまとめて見るには、GA4のカスタムチャネルグループで、各サービスから記録された「セッションの参照元」を条件にした独自チャネルを作成します。Google Analyticsでは、既存のチャネルグループをコピーして独自のチャネルルールを追加できます。
出典:Google Analytics ヘルプ「Custom channel groups」
設定前に実データの参照元を確認することが重要です。AIサービス名から推測した固定のドメイン一覧を先に登録するのではなく、自サイトのGA4に届いている値を確認してからルール化してください。Web版・アプリ版、ブラウザ、リダイレクト経路などによって、記録される参照元の表記は変わる可能性があります。
- 探索レポートまたはトラフィック獲得レポートで「セッションの参照元」を確認する
- AIサービスに関係すると判断できる参照元候補を抽出する
- 探索レポートのフィルタまたはセグメントで、一時的にAI参照流入を合算する
- 継続評価が必要なら、カスタムチャネルグループに「AI Referrals」を追加する
- セッション、エンゲージメント、キーイベント、ランディングページを定期確認する
この順番なら、推測による誤分類を抑えつつ、GA4で識別できたAI参照流入を媒体横断で分析できます。
まず探索レポートで記録済みのAI参照元を確認する
恒久的なチャネル定義を作る前に、探索レポートで保存済みの参照元を確認してください。先に実データを見ることで、存在しない参照元を前提にしたり、必要以上に広い正規表現を登録したりするリスクを減らせます。
「セッションの参照元」を軸に候補を調べる
自由形式の探索を作成し、行に「セッションの参照元」または「セッションの参照元 / メディア」を設定します。値にはセッション、エンゲージメントのあるセッション、エンゲージメント率、キーイベントを追加すると、流入量と訪問後の行動を同時に確認できます。
GA4のトラフィック獲得レポートにおける「セッションの参照元」は、セッションを開始させた参照元または配信元を示すディメンションです。AI流入を訪問単位で調べる場合は、初回訪問時の獲得元ではなく、セッションスコープのディメンションを使います。
出典:Google Analytics ヘルプ「[GA4] Traffic acquisition report」
探索のフィルタでは、候補となる文字列を一つずつ確認する方法が安全です。最初から複雑な正規表現を作るより、参照元の正確な表記と件数を控えてから、まとめる条件を決めてください。
- ChatGPTに関係すると判断できる参照元表記
- Perplexityに関係すると判断できる参照元表記
- Microsoft Copilotに関係すると判断できる参照元表記
- そのほか、AI検索またはAIアシスタント由来の可能性がある参照元表記
サービス名に似た文字列が含まれていても、そのサービス本体からの流入とは限りません。採用候補は、表記、件数、ランディングページの傾向を確認し、運用上妥当と判断できるものに絞ります。
候補は一定期間の実トラフィックで確定する
自分でAIサービス内のリンクを開き、リアルタイムレポートだけで判定するのは避けましょう。一定期間の実トラフィックで確認するほうが、たまたまの表記や社内テストアクセスをルールに含める失敗を防げます。
確認期間はサイトの流入規模に応じて決めます。日次セッションが多いサイトなら数週間、少ないサイトなら数か月単位など、判断できる件数が集まる期間を確保してください。新しい候補が少ない段階で、チャネルルールを急いで広げる必要はありません。
また、標準レポート、探索、検索欄では、利用できる条件や集計方法が異なる場合があります。同じ語句で件数が一致しないときは、対象期間、ディメンション、フィルタ条件、しきい値の有無をそろえて確認してください。
出典:Google Analytics ヘルプ「Data differences between reports and explorations」
探索レポートで一時的にAI流入を合算する方法
カスタムチャネルグループを作る前でも、探索レポートのフィルタやセグメントを使えば、確認済みのAI参照元を合算して分析できます。これは、現状把握や正規表現の検証に向く方法です。
自由形式の探索で「セッションの参照元」をフィルタ条件に設定します。複数の参照元をまとめる場合は、正規表現一致を使うか、参照元ごとのセグメントを作って比較します。
正規表現は確認済みの参照元だけを最小限で登録する
複数の参照元をOR条件でまとめる正規表現では、一般に縦棒を使います。実データで確認した参照元が3件ある場合の書式例は、次のとおりです。
^(確認済み参照元A|確認済み参照元B|確認済み参照元C)$
これは書式例であり、実際には「確認済み参照元A」などをGA4に記録された正確な値へ置き換えます。ドメイン中のピリオドは正規表現では任意の一文字を表すため、文字どおりに一致させる場合は \. のようにエスケープします。
サービス名だけで広く一致させないことも大切です。短い語句や一般名詞を含む条件では、関係のない参照元までAI流入として集計するおそれがあります。Google Analyticsのカスタムチャネルグループの案内にはAIアシスタント向けルールの例もありますが、自サイトで観測した値に合わせて調整してください。
出典:Google Analytics ヘルプ「Custom channel groups」
合算値とサービス別の内訳を使い分ける
AI経由の総量を知りたい場合は、複数の参照元をまとめたフィルタまたはセグメントを使います。一方で、サービスごとの成果差を確認したい場合は、行に「セッションの参照元」を置いたまま内訳を見ます。
| 確認したいこと | 主な見方 |
|---|---|
| AI経由の総流入 | AI参照元を合算したセッション数 |
| 媒体ごとの訪問状況 | 参照元別のエンゲージメント率、平均エンゲージメント時間 |
| 成果への寄与 | 参照元別のキーイベント、セッションのキーイベント率、収益 |
| AI経由で到達するページ | 参照元別のランディングページ |
合算値だけでは、特定サービスの増減や訪問の質の違いを見逃すことがあります。月次報告では合算値を中心にしつつ、定例レビューでは参照元別の内訳も確認すると判断しやすくなります。
継続集計にはカスタムチャネルグループで「AI Referrals」を作る
毎回探索レポートでフィルタを設定する手間を減らしたい場合は、カスタムチャネルグループを作成します。AI参照流入を独立したチャネルとして扱えば、トラフィック獲得レポートや探索で、他チャネルとの比較がしやすくなります。
GA4では、プロパティの編集者以上の権限があるユーザーが、管理画面の「データの表示」にある「チャネル グループ」からカスタムチャネルグループを作成できます。画面名や配置はGA4の更新によって変わる可能性があります。
出典:Google Analytics ヘルプ「Custom channel groups」
チャネルルールは「セッションの参照元」を条件に設計する
新しいチャネルとして「AI Referrals」などを追加し、原則として「セッションの参照元」が確認済みのAI関連参照元に一致する条件を設定します。
- GA4の「管理」を開く
- 「データの表示」から「チャネル グループ」を開く
- デフォルトチャネルグループをコピーするか、新しいカスタムチャネルグループを作成する
- 「AI Referrals」などの新規チャネルを追加する
- ディメンションに「セッションの参照元」を選ぶ
- 完全一致、含む、正規表現一致から適切な条件を選び、確認済みの値を登録する
- チャネルの順序を調整して保存する
参照元が少数で固定的なら完全一致が管理しやすく、サブドメインなど複数表記をまとめる必要がある場合は正規表現一致が候補です。ただし、正規表現は保守ミスが起きやすいため、複雑にしすぎないほうが安全です。
AI ReferralsをReferralより上に配置する
カスタムチャネルグループでは、複数のルールに一致する流入は、上から順に最初に一致したチャネルへ分類されます。そのため、AI Referralsは通常のReferralより上に配置してください。Referralが先に判定されると、AI関連の参照元がReferralに分類され、AI Referralsに入らない可能性があります。
出典:Google Analytics ヘルプ「Custom channel groups」
設定後はAI Referralsの件数だけでなく、ReferralやUnassignedの内訳も確認します。想定した参照元がReferralに残っていれば、条件または優先順位を見直してください。AI Referralsが急増した場合は、正規表現が広すぎて関係のない流入を取り込んでいないか確認します。
定義変更日と変更内容を記録する
カスタムチャネルグループは、取得系レポートや探索で利用できます。定義を変更した場合は、レポート上の分類や過去期間の見え方に影響することがあるため、変更日、変更内容、変更理由を残してください。
前月比は同じ定義で比較することが重要です。ルールを変更した月は、流入の実態が変わったのか、分類方法が変わったのかを分けて解釈する必要があります。
出典:Google Analytics ヘルプ「Custom channel groups」
AI流入で確認したい指標とレポートの見方
AI流入はセッション数だけで評価すると、事業への貢献を判断しにくくなります。流入量、訪問時の行動、成果、流入先ページを分けて確認することで、AI経由の訪問がサイトの目的にどう関係しているかを把握できます。
セッション・エンゲージメント・キーイベントを目的別に見る
セッション数で流入規模を確認し、エンゲージメントのあるセッションとエンゲージメント率で訪問の状況を見ます。そのうえで、問い合わせ送信、資料請求、会員登録、購入など、サイトの目的に合うキーイベントを確認してください。
GA4におけるエンゲージメントのあるセッションは、10秒を超える滞在、キーイベントの発生、または2回以上のページビュー・スクリーンビューのいずれかを満たすセッションです。エンゲージメント率は、エンゲージメントのあるセッションを全セッションで割った割合です。
出典:Google Analytics ヘルプ「[GA4] Engagement rate and bounce rate」
| 指標 | 主に分かること | 見る際の注意点 |
|---|---|---|
| セッション | AIから識別できた流入規模 | リファラー欠落分は含まれない |
| エンゲージメント率 | 一定の関与につながった割合 | ページ構成や計測設計の影響を受ける |
| キーイベント | 重要行動の発生回数 | イベントをキーイベントとして設定する必要がある |
| セッションのキーイベント率 | 訪問単位で成果が出た割合 | 少数セッションでは変動が大きい |
AI流入が少ない段階では、日次の増減だけで判断しないことも大切です。週次または月次で集計し、Organic Search、Referral、Emailなどの比較対象と並べて傾向を確認します。
ランディングページ別に到達先を把握する
AI経由の訪問者がどのページへ最初に到達したかを見ると、AI参照流入と相性のよいコンテンツの傾向を把握する材料になります。ただし、流入が多いことだけで、AIがそのページを高く評価した、回答の根拠に採用したとまでは断定できません。
トラフィック獲得レポートで主ディメンションをAI Referralsまたはセッションの参照元にし、第二ディメンションに「ランディングページ + クエリ文字列」を追加する方法が分かりやすいでしょう。ランディングページレポートに「セッションの参照元 / メディア」を第二ディメンションとして追加する方法もあります。
出典:Google Analytics ヘルプ「[GA4] Landing page report」
流入が多いページと成果が出るページは別の場合があります。解説記事へのAI流入が多い一方で、問い合わせや購入は別ページで発生することもあります。内部リンクやCTAを見直す際は、ランディングページとキーイベントの両方を確認してください。
AI流入がDirectやOrganic Searchになる・計測されない主な理由
GA4のAI Referralsに入る数値を、生成AIからの全流入とみなしてはいけません。参照元情報がブラウザから渡らない、途中で失われる、別の流入元として処理されるといったケースがあるためです。
リファラーが渡らない遷移はGA4だけではAI流入と判別できない
GA4では、明確な参照元が取得できないトラフィックは「(direct) / (none)」として処理されます。UTMパラメータがない、リダイレクトで情報が失われる、URL短縮サービスなどで参照情報が失われる、広告ブロッカーが計測に影響するといった要因が考えられます。
出典:Google Analytics ヘルプ「[GA4] Understand (direct) / (none) traffic」
後からDirectをAI流入へ正確に戻すことはできません。Directには、URL直接入力、ブックマーク、オフライン資料、参照元が欠落した外部リンクなど、複数の要因が混在するためです。「GA4が識別できたAI参照流入」と表現し、全量推計と混同しないようにしてください。
また、セッションの流入元と、キーイベントのアトリビューション分析は目的やルールが異なります。同じ期間を見ても、数値が一致するとは限りません。
出典:Google Analytics ヘルプ「User acquisition report vs. Traffic acquisition report」
UTMパラメータで補完できる範囲は限られる
UTMパラメータは、自社で配布・管理できるリンクの計測補完には有効です。たとえば、自社のAIチャットボット、メールマガジン、SNS投稿、広告、提携先向けの専用リンクには、運用ルールに沿って utm_source、utm_medium、utm_campaign を付与できます。
一方、ChatGPT、Perplexity、Copilotなどの第三者サービスが回答内に自動生成する外部リンクに対し、サイト運営者側が一律でUTMパラメータを付けることはできません。そのため、外部AIからの自然な参照流入は、基本的にリファラー情報で把握します。
自サイト内の通常URLへ恣意的にUTMを付けたり、AIサービス名を偽ったパラメータを使ったりするのは避けてください。流入元の分類が崩れ、ほかの施策との比較が難しくなります。
運用開始後の保守チェックリスト
AI参照流入の分類は、一度作って終わりではありません。AIサービス側の仕様、参照元表記、ユーザーが使うアプリやブラウザの組み合わせは変わり得るため、定期的な確認が必要です。
新しい参照元と未分類を定期的に見直す
月次または四半期ごとに、探索レポートで「セッションの参照元」を確認し、AIに関係する新しい候補が増えていないか見直します。候補を見つけてもすぐに正規表現を広げず、件数と表記を確認してからルールへ追加してください。
- AI Referralsに意図した参照元が入っているか
- AI関連と判断できる参照元がReferralやUnassignedに残っていないか
- ルール変更後に急な増減や不自然な分類が起きていないか
- 不要になった条件や重複した正規表現が残っていないか
- 変更日、変更内容、変更理由を記録しているか
正規表現は小さく始めて更新することが、分類精度を維持する基本です。新しいAIサービスを網羅しようとして曖昧なキーワードを追加すると、誤分類によってレポートの信頼性が下がります。
内部トラフィックとテストデータを除外して判断する
自社担当者がテストしたアクセスをAI流入の成果として扱わないよう、内部トラフィックの設定も確認してください。GA4では、ウェブデータストリームで内部トラフィックを定義し、データフィルタで除外する仕組みが用意されています。
除外データフィルタを有効化すると、除外されたデータは処理されず、GA4およびBigQueryエクスポートで利用できなくなります。本番適用前にテスト状態で影響を確認する運用が安全です。
出典:Google Analytics ヘルプ「[GA4] Filter out internal traffic」
FAQ:GA4での生成AI流入計測でよくある疑問
生成AI流入の計測では、設定画面の操作だけでなく、データの解釈でも迷いやすい点があります。運用判断に関わる代表的な疑問を整理します。
AI流入が0件なら、設定ミスですか?
必ずしも設定ミスではありません。AIサービスからの流入自体が少ない、リファラーが渡っていない、確認期間が短い、探索の条件が適切でない、といった可能性があります。まずチャネル設定を疑う前に、「セッションの参照元」を対象にした探索で候補が記録されているか確認してください。
Directに分類されたAI流入は後から判別できますか?
GA4のデータだけで正確に判別することは困難です。Directには、参照元が失われたAI経由の訪問以外にも、直接入力、ブックマーク、オフライン資料などが含まれます。Direct全体をAI流入とみなすべきではありません。
探索レポートとカスタムチャネルグループは、どちらを使うべきですか?
一時的な調査、候補参照元の発見、ルールの検証には探索レポートが向いています。月次報告や継続的なチャネル比較には、カスタムチャネルグループが向いています。探索で検証してからチャネルグループへ反映する使い分けが実務的です。
ChatGPT・Perplexity・Copilotで別々のチャネルを作るべきですか?
総量把握が目的なら、まずはAI Referralsとして一つにまとめる方法で十分です。媒体ごとの成果差を継続的に追う必要がある場合だけ、サービス別チャネルを追加するか、AI Referralsを選んだうえで「セッションの参照元」別に内訳を確認してください。
まとめ:識別できたAI参照流入を継続比較する
ChatGPT・Perplexity・Copilotなどからの流入をGA4でまとめるには、最初に探索レポートで実際の「セッションの参照元」を確認し、その値を使ってカスタムチャネルグループにAI Referralsを作成します。
- 固定のドメイン一覧を前提にせず、自サイトで確認できた参照元から始める
- 一時分析は探索レポート、継続集計はカスタムチャネルグループで行う
- AI ReferralsはReferralより上に置き、優先順位による誤分類を防ぐ
- セッション数だけでなく、エンゲージメント率、キーイベント、ランディングページも確認する
- GA4で見える値は、リファラーで識別できたAI参照流入であり、全AI流入ではないと理解する
- 参照元の追加や表記変化に備え、未分類データとルールを定期的に見直す
「識別できたAI流入」を継続比較する前提で運用すれば、完全計測が難しい環境でも、AI経由の訪問がコンテンツや事業成果へどの程度関係しているかを、再現性のある形で評価できます。